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議会報告

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平成26年県議会報告 議会録

■質問者 きくち伸英

おはようございます。菊池伸英です。

  ただいまから一般質問を始めますので、知事初め関係理事者の明快なる御答弁、よろしくお願いいたします。

  今月初めに財務省が発表した2013年10月から12月期の法人企業統計によると、設備投資は3期連続でプラスとなり、前年同期比でも4%増となっております。消費増税前の需要に加え、設備投資減税の姿勢を打ち出した効果が着々とあらわれ、GDPの予想は、民間シンクタンク8社の平均で1%増となっております。また、1月の税収は、前年度比21.5%の約4兆1,100億円で、この近年にない好調な伸びとなっています。消費税増税後の来年度上半期に対する危惧はありますが、アベノミクスによる経済復調の兆しに期待をしております。

  皆さん御承知のとおり、経済とは経世済民、世を治め民を救うの略語です。しかし、日本語で経済と訳されている英語のエコノミーは、倹約、節約のニュアンスが強く、言葉のイメージから言うと、日本語の経済はマクロで積極的であり、英語のエコノミーはミクロで消極的な感じを受けますが、実際のグローバル経済では逆のような気もいたします。日本語の意味である経済とともに、実際の日本経済が世界に躍進し、愛媛の経済がさらなる発展を遂げることを心より願い、質問に入らせていただきます。

  まず初めに、安倍政権の成長戦略についてお伺いいたします。

  本年1月にスイスで行われた世界経済フォーラム年次総会、通称ダボス会議には、ことしも世界の経済界のリーダーや国家元首、閣僚など約3,000人が参加したそうです。開会式の基調講演に日本首相が招かれたのは、44年の開催史上初めてのことであり、安倍首相が世界に向けて国家戦略特区などによる規制改革、法人減税、女性の重用、労働規制改革など、踏み込んだ言及をした意義はとても大きいと考えます。

  くしくも首相がその会議において、1914年に始まった第一次世界大戦から100年目ということで、現在の日本と中国の関係を、英独関係は大きな経済関係があったにもかかわらず、第一次世界大戦に至った。日本と中国はそうなってはならない。相互のコミュニケーションを緊密にすることが必要であるとの趣旨の発言をしたことに反し、通訳が「I think we are in the similar situation」—「我々は似た状況にあると私は思う」とつけ加えてしまったことで、本意とは異なる一部分がひとり歩きをし、さまざまなメディアから、日本の首相は、日中の関係を大戦前のドイツ、イギリスと同様であると認識しているとの偏った報道が広がったことを残念に思うとともに、マスメディアのあり方、通訳の重要性を痛感させられました。

  さて、昨年は、アベノミクスによる金融緩和と財政出動で日本に期待を寄せる外国人投資家が日本株を15兆円も買い越し、株価上昇率が57%に及ぶという、主要国でも突出した伸びとなりました。この経済の好転を安定させ、確信的なものにするためにも、第3の矢である成長戦略は非常に重要な課題であると認識しています。成熟した資本主義において、技術や物資の飽和による停滞は避けられないとされていた、いわゆる失われた20年と言われる停滞期を今我が国は世界の先頭に立って打破しようとしており、今後の政府・与党に大きな期待を寄せているところであります。

  しかしながら、安倍首相が訴えたダボス公約と言われる成長戦略は、外資や外需とのかかわりが希薄な地方にとって痛みを伴う場合もあります。例えば、本県における農業を取り巻く環境は、過疎化、高齢化、耕作放棄地の増加などの諸問題もあり、決して楽観視できるようなものではありません。そのような中で、農業分野の規制改革については、より活発な議論を積み重ねなければならないと考えております。

  また、法人減税により、地方自治体の税収が減少し、財政運営がこれまで以上に厳しくなるおそれもあります。さらに、特区については、これまでの地方から要望をしていた特区と違い、国家戦略特区として指定される地域は、東京などの大都市圏が中心となる見通しで、地方との格差が広がることを懸念されております。

  そこで、お伺いします。

  農業分野の規制改革や法人税率の引き下げ、国家戦略特区に対する取り組みなど、安倍政権が掲げる成長戦略についてどのように評価しているのか、御所見をお聞かせください。

  本年、2014年は、世界的にも珍しい女性だけの歌劇団、宝塚歌劇団が創立100周年を迎える年であります。宝塚歌劇団は、大正3年に阪急東宝グループの創業者であり、終戦直後の幣原内閣において、戦災復興、国務大臣を努めた小林一三が、宝塚温泉の室内プール閉鎖後に立ち上げた劇団であると聞き及んでおります。改めて100年前から続く日本女性の優美さと力強さを感じております。

  先ほどの質問中にあったダボス公約には、女性の重用もうたわれており、アメリカの国務長官だったヒラリー・クリントン氏によると、日本女性の労働参加率が男性並みになると、何とGDPが16ポイント増加するとのことです。日本のGDPは、ここ20年近くマイナス2ポイントからプラス1.数ポイントを行ったり来たりしているのが実情ですから、これは驚異的な数値と言えます。それぐらい日本女性には潜在能力があると考えられているのです。

  都市部においては、また、地方でも、農林水産分野においては、女性が重要な労働力として活躍していますが、欧米の諸外国では当たり前に目にする建設現場やトラック、バスの運転手など、男性の職場とされている労働現場での女性の活躍を残念ながら本県では余り目にすることはありません。男女に差異のある我が国の文化的な背景があることは十分承知していますが、平成25年度の県の男女参画関連施策概要では、約116億円の予算が計上され、うち労働の場における男女平等の確保について8億円を超える予算が計上されており、今後ももっとダイナミックに女性が力強く働ける労働環境の整備や労働参加へのフォローを期待したいところです。

  そこで、お伺いいたします。

  本県における女性の労働参加の実情について、現状はどうか。また、女性の労働参加促進への取り組み、効果実績はどのようになっているのかお聞かせください。

  次も女性関連になりますが、子宮頸がんワクチンについてお尋ねいたします。

  平成22年度から補助事業として実施され、平成25年度からは予防接種法に基づく定期接種の対象となった子宮頸がんワクチンですが、平成22年度当時、松山市議会議員であった私は、子宮頸がんワクチンの公的助成による接種の実施について慎重姿勢をとらせていただきました。その後、接種した小学6年生から高校1年生までの女子に疼痛、じんま疹、発熱、嘔吐、頭痛、目まい、倦怠感などのさまざまな症状や重篤な副作用に至る症例が発生してきたため、平成25年6月に、国は、積極的な接種勧奨を控えるよう自治体へ勧告するという異例の事態になりました。

  HPV、ヒトパピローマウイルスのうち、子宮頸がんに至るリスクのある種類は16、18、31、33、35などなどの15種類の型で、そのワクチンであるイギリスのグラクソ・スミスクライン社のサーバリックスは、16型、18型の2種類に、同じくアメリカのメルク社のガーダシルで効果があるのは16型、18型、6型、11型の4種類に効果があると言われ、その効果対象は全女性の約50%程度になっています。

  神奈川県の大和市、鎌倉市が行ったワクチン接種後の体調の変化に関する状況調査によれば、接種者の45%に何らかの副作用があらわれているようで、本県では、平成22年度から24年度までに約3万人が接種したと見られていますが、平成25年5月21日の新聞報道によりますと、報告のあった副作用は10件で、そのうち3件が入院を必要とするものだったとされており、大和市、鎌倉市とは余りにもかけ離れた数字になっています。

  また、本年2月には、WHO世界保健機関は、ワクチンの安全性を確認したと発表していますが、同時に、「ただし、質の高い監視を継続する必要がある」と声明を発表しています。寡占とも言える海外2社の製薬会社に巨額の予算を使い、重篤な副作用をもたらしているワクチンですから、接種したことによる効果検証及び接種後の状況をしっかりと見守る必要があると考えます。

  そこで、お伺いします。

  WHOの推奨する質の高い監視を継続するための追跡調査や、前述の大和市、鎌倉市が行ったワクチン接種後の体調の変化に関する状況調査のようなきめ細やかなアンケートを市町に求めるなどの有無、また、県独自で接種後の状況を把握する考えがあるのか、お聞かせをください。

  2月22日の竹島の日記念式典には、昨年に続き、政府関係者が出席し、日本の領土に対する政府の姿勢が示されました。また、本年1月27日には、尖閣諸島、竹島は、我が国の固有の領土であるとの認識を明確にするため、学習指導要領解説が前倒しで改訂されました。瀬戸内しまのわ2014のイベント等を通じて、広島など中国地方との関係の深い我が県においても、竹島を不法占拠されている島根県の人々の思いを共有すべきだと感じます。

  さらに、2月17日には、中央教育審議会総会が開かれ、道徳の教科化について議論があり、今後の検定教科書の導入や評価のあり方、教員の指導力向上方策について議論が進められ、今秋をめどに答申が出されることになっています。

  そこで、道徳教育についてお伺いします。

  道徳は、現在、小中学校において、道徳の時間として週1回、年間35時間の授業が設定されていますが、政府の教育再生実行会議と文科省の有識者会議が昨年、教科に格上げするよう提言をしていました。同じく、昨年、文科省は、道徳教材として現在配布されている「心のノート」を全面改訂し、「私たちの道徳」の名称で平成26年度から使用する方針を発表しています。

  道徳教育は、他の教科とは違い、採点や評価が大変難しい教科であるとともに、評価を下す教師の主観にも影響される特別な教科であることは十分認識をしております。しかしながら、児童生徒を取り巻く環境が、核家族化やネット社会など、時代の変遷する中、道徳の教科化は、これまでの社会教育、家庭教育では対応し切れなくなった部分を学校教育においてフォローアップする有意義な試みとして賛同したいと思っています。

  東京オリンピックに向けて国際化はさらに促進をされるでしょう。そのような国際化の中で、日本人としてのアイデンティティーがしっかりと身につく教育の場であってほしいと願うのであります。我が国の将来を担う子供たちが、郷土や国を愛し、自国に対し誇りを持ち、世界の人々から称賛される人材となるよう育成するためにも、道徳の教科化は推進されるべきものであると考えます。

  特に、我が県においては、愛媛県生涯学習センターの常設展に展示されているように、日本の歴史に名を残す多くの偉人を輩出しています。そのような偉人を歴史教育とともに道徳教育にも活用し、郷土に誇りの持てる教育を推進し、今後も郷土を愛するすぐれた人材を育んでいっていただきたいと考えております。

  そこで、質問です。

  道徳の教科化についてどのように考えているのか、また、今後、道徳教育をどのように進めていくのか、お聞かせください。

  最後に、交通体系についてお伺いいたします。

  昨年、県警では、交通事故死者数を50人未満に抑える「交通死亡事故抑止“アンダー50”」を目標に掲げ、官民一体となったさまざまな取り組みを行ってこられたと聞いております。残念ながら、アンダー50の達成は、本年以降に持ち越しとなりましたが、交通事故発生件数と死傷者数は、平成17年以降、9年連続で減少するなど、県民総ぐるみで推進している諸対策は一定の成果を上げているものと認識し、日ごろの御苦労に感謝を申し上げます。

  統計によりますと、死者数が50人を下回ったのは、昭和22年に記録した49人の1度だけであり、当時の車の量や交通事情を鑑みると、今の目標がいかに高いかということは理解をしておりますが、ぜひ、今後も実効性に富んだ諸対策を強力に推進し、ことしこそアンダー50という高いハードルに挑んでいただきたいと切に願っている次第です。

  先日より、富山県の北陸自動車道サービスエリアで夜行バスがトラックに衝突した事故や、広島県福山市の市道で、横断していた小学生の集団にトラックが突っ込み、重軽傷を負わせるなど、重大な交通事故が続いておりますが、私自身の父親も交通事故が原因で重い障害を持つこととなり、その後、亡くなりましたが、交通事故は、被害者・加害者ともに、精神的にも肉体的にも、さらには経済的にも大きな負担となります。また、子を持つ親としては、交通ルールを守るよう指導することはもちろん、日々地域の方々が通学路の見守りなどしてくださることを大変ありがたく思っております。

  県警では、一昨年、京都府亀岡市の通学路において発生した悲惨な交通事故を受け、関係機関合同による通学路の点検を実施し、必要と認められた交差点には、信号機の設置を初め各種交通安全施設が整備されたと承知しております。交通事故を防止するためには、今後とも信号機を初めとする交通安全施設の整備、充実を図っていく必要があります。

  一方、既に県内には設置している約2,000基の信号機は、その多くが第2次交通戦争を背景に、平成元年から平成15年ごろにかけて集中的に整備を推進したもので、整備後20年以上経過したものが多々あり、これらの老朽化対策が急がれるところです。厳しい財政事情の中、平成26年度当初予算において、信号機等の老朽化対策を盛り込んだ予算案が計上されているところであり、こうした対策が交通事故抑止に寄与するものと期待をしております。

  また、信号機は、交通の円滑化のためにもなくてはならないものです。県内では、バイパス道路の開通や、大型商業施設の建設等による道路事情の大きな変化が、新たな渋滞や事故発生の要因となっていることは否めず、朝夕10分から15分ずつの渋滞が1年間続くと、1カ月以上の労働時間を損失させると言われています。今期最高の売上高を記録した自動車メーカー、トヨタでは、「カイゼン」という名目で合理化と効率化を推進し、我が国が世界に誇れる自動車メーカーとして業績を上げています。

  タックスペイヤーである企業が血のにじむような努力を続けている中で、行政が取り組まなければならないことは、おのずと見えてきます。それは、労働損失を軽減するようフォローし、より円滑な交通体系を確立することだと思うのです。渋滞対策においても、県警には攻めの一手を講じていただきたいものであります。

  そこで、警察本部長にお伺いします。

  信号機の新設要望数と、その対応状況はどうか。また、老朽化対策にどのように取り組んでいるのか。さらには、交通事情の変化に伴う渋滞対策にどのように取り組んでいるのか、お聞かせをください。

  以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

■答弁者 中村時広知事

 質問の中で、成長戦略についてのことをお答えさせていただきます。

 日本経済の再生には、金融政策と財政政策の2本の矢によるカンフル剤としての効果が失われないうちに、第3の矢である成長戦略を早期に実行し、実体経済の底上げを図ることが重要であり、さきの臨時国会で実行に向けた枠組みとなる産業競争力強化法等の9つの法案を成立させるなど、安倍政権がスピード感を持って取り組まれている姿勢は、評価しているところでございます。

 今後は、戦略の具体化が問われることになりますが、現在進められている農業改革は、本県のように急傾斜地がほとんどの樹園地や、中山間地域等の条件不利地を多く抱える地域の実情が配慮されているのか、この点、懸念を持っておりまして、議論が始まった法人減税も、法人関係税収のうち実に約6割が地方分であります。単なる税率引き下げにより、地方に負担を強いることがあってはならず、政府の対応を地方から注視していく必要があるんではないかと考えております。

また、国家戦略特区を初め、産業競争力の強化等につながる政策の効果は、大都市圏や特定地域にとどまることなく、日本全体に波及させることが重要であり、地方の実情を十分に踏まえた実のある成長戦略となることを期待しているところであります。

その他の質問につきましては、関係理事者から御答弁させていただきます。

■答弁者 岡田清隆県民環境部長

 女性の労働参加の御質問にお答えいたします。

 本県の女性の雇用者数は、平成22年時点で約23万人で、全雇用者数の47%を占めており、また、女性の年齢別の労働力率は、全国と同様、結婚・出産期に当たる30歳代に一旦低下し、育児が落ちつく40歳代以降に再び上昇する、いわゆるM字カーブを描いております。
県では、これまで平成13年に男女共同参画計画を策定し、女性の能力開発等の支援や、男女均等な雇用環境の整備、多様な働き方への条件整備など、目標に向けた施策に取り組んでおりまして、計画の策定以降、女性の雇用者数は増加傾向にあります。計画策定前の平成12年と平成22年を比較いたしますと、全雇用者数の総数が減少する中で、女性雇用者数は約3,800人増加しており、特に30歳代の労働力率が大きく上がり、M字カーブが緩和するなど、本県の女性の労働参加は着実に進んでいるものと考えております。
しかしながら、一方で、非正規雇用者数の割合で見ますと、平成24年時点で男性が19.6%に対し、女性は55.6%と、男女間で就業状態の違いもありますことから、こうしたことも踏まえまして、今後、経済活動において、女性の力が十分発揮できる支援策の一層の充実、強化を図ってまいりたいと考えております。

■答弁者 神野健一郎保健福祉部長

 子宮頸がんワクチンについての御質問にお答えをいたします。
予防接種の安全性等を監視するためには、副反応に関するより多くのデータを収集し、客観的かつ最新の科学的知見に基づいた分析評価を行う必要がありますことから、副反応については、予防接種法により、国が必要な調査を行うこととされており、国は、診断した医師から直接報告を受け、審議会の意見を聞いた上で必要な措置を講じることとなっております。子宮頸がん予防ワクチンについても、この仕組みの中で、国において必要な副反応データが全て収集され、現在、症例に関する専門的な分析評価がなされているところであり、また、県も国から情報提供を受け、副反応の状況について把握しているところでございます。
県としては、この問題は、接種対象者や保護者の関心も高く、不安に思っておられる方も多いことを踏まえ、県民からの相談に応じるとともに、ホームページを通じて国の対応状況や接種後の痛み等に対応可能な医療機関についての情報を提供しているところでございます。

■答弁者 仙波隆三教育長

 道徳の教科化など、道徳教育についての御質問がございました。
道徳教育は、これまで全国的には、学校や教員により、指導内容、方法等に差が見られるなどの課題が指摘されておりまして、教科化することによりまして、教員の道徳教育に対する意識の向上や教材の充実、効果的な指導が一層促進されるものと考えております。今後は、中央教育審議会におきまして、評価のあり方や検定教科書等について十分に議論されることを期待しているところでございます。
また、本県におきましては、昨年度、小中学校ともに学習指導要領に示された標準時間を上回る道徳の授業時間を確保しておりまして、内容につきましても、国の「心のノート」にあわせて県内各地の偉人や伝統文化、自然などを題材にした県版道徳用教材「愛ある愛媛の道徳」を活用するなど、地域に根差した道徳教育を実践しているところでございます。
さらに、来年度は、小中学校の道徳の授業において、国から配布される「私たちの道徳」の活用を図りますほか、県独自に小学生を対象に、「いじめSTOP愛顔の子ども会議」を開催いたしますとともに、高校におきましては、郷土の先哲の生き方、考え方等を学ぶ道徳教材を作成し、授業の充実を図りたいと考えておりまして、 今後ともこうした取り組みを通じて、小中高で一貫して道徳教育を推進してまいりたいと考えております。

■答弁者 川邉俊一警察本部長

 交通体系についてお尋ねがありました。
まず、信号機の新設や老朽化対策についてお答えいたします。 平成25年度の信号機設置要望数は78カ所でございました。ただし、その中には、信号柱を立てるスペースがない、あるいは交通量が設置基準を大幅に下回る場合など、現状のままでは設置の要件を満たさない要望箇所が4割含まれております。
毎年度、優先度を勘案しながら設置を検討しておりますが、25年度中には、当初予算で11カ所、9月補正予算で、通学路対策等により緊急性が認められた5カ所の計16カ所を設置させていただきました。さらに、26年度は13カ所の設置を予定しておりまして、所要の経費を今回の当初予算に計上しております。
今後も厳しい財政状況の中ではありますが、真に必要と認められる場所に対する信号機の設置に努めてまいる所存でございます。 また、信号機の老朽化対策につきましては、倒壊事案等を発生させないためにも、定期的な点検を実施しております。
しかしながら、平成元年ごろから集中的に整備した信号機が更新時期を迎えておりまして、今後、しばらくの間は、これまでより相当程度多い更新・整備が必要となります。
一方、新設道路が開通するなどの交通環境の変化に伴いまして、一時停止等への交通規制の見直しが可能な信号機につきましては、維持費節減の観点から撤去するなど、交通安全施設の適切な維持管理に努めているところでございます。
次に、渋滞対策であります。 県警では、交通渋滞の事前対策といたしまして、道路の新設あるいは改良が行われる場合、計画段階から道路管理者と連携を図りまして、交通規制の実施方法等についての協議検討を進めております。交通事情の変化により、新たに交通渋滞が発生、あるいは発生が予想される場合は、道路管理者に対し、道路の拡幅や右折レーンの設置等を要望いたしますほか、時差式信号、あるいは矢印信号の導入を検討するなど、渋滞解消に向けた積極的な取り組みを行っているところであります。
また、車両をスムーズに走行させるため、適宜信号サイクルの見直しを行っているほか、ドライバーに対し、道路情報板、ラジオ放送、VICS対応カーナビゲーション等を活用いたしまして渋滞情報を提供しております。 県警では、今後も引き続き、歩行者や自転車利用者も含めた全ての道路利用者が、安全かつ円滑に道路を利用できますよう、適正な渋滞緩和、交通環境の確保に努めてまいる所存でございます。