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議会報告

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平成19年市議会報告 議会録

■質問者 きくち伸英

私は、自由民主党議員団を代表して、所信表明並びに今議会に提案されております平成19年度当初予算案を初め市政の重要案件について質問をさせていただきますので、市長初め関係理事者の明快なる御答弁をお願いいたします。

まず、我が国の経済は、景気拡大が去年11月に戦後最長のイザナギ景気を超えた後も、2月の国の月例経済報告の総論で、「景気は、消費に弱さが見られるものの、回復をしている。」先行きについては、「企業部門の好調さが持続しており、これが家計部門へ波及し国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。」とあります。一方で、日銀は、景気拡大の基調は底がたく、懸念された個人消費も上昇基調にあると判断し、2月21日に開いた金融政策決定会合で、短期金利を0.25%から0.5%に引き上げることを決め、即日実施をいたしました。こうした状況のもと、政府の2007年度予算案は、景気回復と定率減税の全廃を背景に大幅な増が見込まれ、新規国債発行額を過去最大の減額とするほか、隠れ借金とも言われる交付税特別会計の債務返済を進めるなど、2011年度のプライマリーバランスの黒字化に向け、財政健全化路線を維持しております。しかし、膨張する社会保障経費等の影響で政策経費の一般歳出は微増となり、高齢化社会への対応の面で、これから課題を残す形となっております。県内では、愛媛県の経済が緩やかな回復を続けていますが、経済指標では、中予地域は、有効求人倍率の底上げが見られるものの、現実には雇用情勢の逼迫が家計所得の増加に結びつくほどでもなく、まだまだ景気回復を感じるにはほど遠いと考えております。こうした状況のもと、三位一体の改革による影響を、人件費や事務事業評価による補助金など委託料等の削減によりこれを吸収し、市民サービスの維持に努めながら積極的に今後の成長分野への取り組みなど、御苦労をされておりますことには理解をしております。

そこで、新年度の予算編成についてお伺いいたします。まず初めに、平成19年度当初予算編成の基本方針についてであります。新年度の予算編成については、一般財源総額の伸びが期待できない中、頭の痛い新規水源開発や松山駅周辺整備、外環状線、西クリーンセンターといった各数百億円規模の事業を行う中での予算編成は、大変だったと思われます。そこで、第1点目は、平成19年度当初予算編成に当たり、市長の所信表明の中でも、国、地方を通じた歳出・歳入改革に基づき、今後、5年間の歳出圧縮方針が示されるなど、ますます厳しい財政運営を強いられると述べておりましたが、それを踏まえ、どのような覚悟で臨まれたのか、お尋ねをいたします。次に、めり張りをきかせたとされる新年度予算についてであります。今回の新年度予算案を拝見しますと、一般会計総額は1,437億3,000万円と、前年度当初予算と比べ3億4,000万円の増額、率にして0.24%の増となっております。歳出の内訳では、増額が、民生費31億4,000万円、農林水産業費4億7,000万円、教育費1億3,000万円、衛生費は1億円程度となっております。一方で、減額はというと、土木費27億6,000万円、公債費4億2,000万円、商工費2億1,000万円、総務費1億4,000万円程度となっておりますが、一見すると、国と同じように公共事業関係経費の削減分を社会保障関係経費に充当したようにも見えますが、このことで地域経済への影響等については、非常に気がかりでなりません。そこで、第2点目は、歳出予算において、どこに重点を置き、どこに特色を持たせたのか。また、土木費の減少による地域経済への影響についてもお尋ねいたします。次に、歳入見込みについてであります。平成16年度の三位一体改革に伴い約50億円の一般財源の削減があり、人件費や事務事業の検証等の努力により経費の抑制に努めた結果、実質単年度収支は、平成16年度は約28億円の赤字、平成17年度は約3億円の赤字となり、平成18年度の緊縮型予算により、3カ年をかけて吸収できる見込みが立ったと聞いております。市長との以前からの予算折衝の中で、「これ以上何を努力し、どこを削減すればいいのですか」と国に対して発言してきたと言っておりましたが、これに対しては私も同感であります。平成18年度には、新たに交付税と臨時財政対策債を合わせて30億円規模という、従来の見込みをはるかに上回る削減がなされた上、昨年末には交付税の法定税率の引き下げ等が議論されるなど、まさに生き残りをかけた地方の自助努力の成果が、国の財政再建や制度改革により、振り出しに戻されかねない状況にあると思います。地方団体等の巻き返しにより、結果的には、法定税率については堅持されることとなったわけでありますが、全国的には、景気回復による税収の伸びを背景に、交付税額の削減は避けられない状況ではないかと考えております。そこで、3点目としては、こうした状況の中で、主たる財源である市税収入の見通しのほか、地方自治体の一般財源として主要な地方交付税並びに財源不足を補てんするために発行される臨時財政対策債についても、どのように見込まれているのか、お尋ねをいたします。次に、政府資金の補償金なし繰上償還についてお尋ねいたします。ここ数年間、公的資金のうち、公営企業金融公庫資金については、一定の枠内で高金利分の補償金なしの繰上償還が認められるようになり、高金利の上水道事業債や下水道事業債については、借りかえにより繰上償還を行っていると伺っております。この償還については、以前から、私も常任委員や監査委員を務める中、各委員会で発言をしてまいりましたが、国の石頭にはがっかりしておりましたものの、ようやく、やわらか頭になってきたなとほっとしております。そこで、平成18年度の借りかえにより、例えば下水道事業債では、金利が7.4%と7.6%のもので、総額約3億8,000万円を2.5%で借りかえたところ、本来の利払いに約1億2,400万円も必要だったものが約6,700万円で済むようになり、おおよそ5,700万円もの利払いが削減につながったそうでありますが、実に、パーセントにすると46%の削減であります。今回は、その公営企業金融公庫に加え、財政融資資金や簡保資金といった政府資金の一部の借りかえ措置も講じられるそうであり、その対象範囲の大小によっては、今後の本市の利払い費用が大幅に抑制される可能性があると思います。この措置については、これまでの地方六団体による国への働きかけの成果ととらえ、一定の評価を行っておりますが、仄聞するに、実際の繰上償還については、まだまださまざまな条件が課せられております。そこで、第4点目として、今回の制度の内容と市長の評価、並びに一般会計における市債残高に占める財政融資及び簡保資金額、同資金のうち5%以上の高金利債の残高と、並びに今回対象となる金額の見込みについてお尋ねいたします。

次に、子育て支援についてお伺いいたします。我が国の少子化の流れは、平成17年における合計特殊出生率が1.26と過去最低であったものの、最近の報道によると、平成18年には1.3台に回復する見通しが立ったそうであります。厚労省によると、景気回復に伴い雇用が安定したことが、結婚や出産の増加につながったとありますが、しかしながら、私は、少子化の流れに歯どめがかかったのかどうかは、見きわめがまだまだ難しいと思っております。少子化の主な要因として、若年世代にとって、経済的な負担の大きさ、仕事と子育ての両立の困難さ、育児への不安感など、子どもを産み育てることをためらう経済的あるいは心理的な負担感が強いことが挙げられ、子育てをする家庭を国、地方公共団体、企業、地域等社会全体で支援することが必要である中、出生率を反転させようと、安倍内閣のもと、新しく子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議が発足したそうであります。私も国民の一人として、国のため子づくりに励み、3児の父親として、また、去年4月の市議会議員選挙時には、子育てしやすい松山をスローガンに、自分なりに少子化対策に取り組んでまいりました。今、我が市としても、女性の社会参画が進むとともに、現在の社会情勢において、安心して産み育てることのできる社会づくりのため、仕事と家庭の両立支援は、子育て支援の大きな柱であると考えておるものであります。このような状況で、就学前児童の保育を行う保育所と小学校低学年児童を対象とした児童クラブは、就労家庭への支援策として、極めて重要な役割を担っているものと考えます。そこで、1点目の質問は、保育所の保育料についてであります。保育料は、所得に応じた負担額となっておりますが、共働き家庭など多子世帯になると、さらに大きな負担となります。本市は4月から、さらなる経済的支援策として、独自の保育所入所第3子保育料の無料化事業を今議会に提案されております。これは、保護者の経済的負担を軽減することと、仕事と家庭の両立を支援しようとするものだと思いますが、これまでの取り組みと今回の保育料軽減策を導入するに至った基本的な考え方、その内容についてお聞かせください。2点目は、児童クラブについてお伺いいたします。子育て支援策の中でも、保育ニーズの高まりとともに児童クラブは、留守家庭の小学校低学年児童に放課後の生活の場所を確保する事業として、大変重要となっております。また、去年5月には、文部科学省と厚生労働省が連携した放課後対策事業として、放課後子どもプランを創設するとの発表がありました。そのプランの基本方針の1つには、地域社会の中で、放課後における子どもたちの安全で健やかな居場所づくりを推進することを掲げており、子育てしやすい環境が整うことにより、次代を担う子どもの健全育成がさらに支援できるものと期待をしております。現在、本市の児童クラブは43カ所に設置されております。その施設においては、ここ数年間で、新築や増築等の施設整備が進むなど、児童クラブの充実が図られております。しかしながら、いまだ小学校敷地内でなく、民間の借家を利用し運営をしているところもあり、これらの児童クラブは、施設の老朽化や施設が手狭になっているなど整備されている施設との格差があり、早急に改善していく必要があるのではないでしょうか。児童が安全に安心して過ごすためには、やはり小学校内へ整備することが重要であると私は考えます。そこで、児童クラブの施設について、借家で運営している児童クラブのほか、手狭な施設など、今後どのように整備を行うのか、お伺いいたします。次に、児童クラブの運営についてであります。女性の社会参画により働く母親が増加している中で、仕事と家庭の両立支援策の一つとして、児童クラブは大きな役割を担っております。学校の休みの日の児童クラブの運営時間は、おおむね午前8時30分から午後6時までとなっておりますが、最近、多発する不審者事件への対応策として、保護者の送り迎えを実施している児童クラブがふえており、このような状況から、保護者の出勤時間に配慮した開始時間の見直しが切実に求められております。子どもの安全確保や保護者が安心して働くことのできる環境を整えるためにも、早急に改善すべき問題であると思われます。そこで、土曜日及び夏休み等の長期休業中の児童クラブの運営時間の見直しをする考えがあるかないか、お伺いいたします。

3つ目の質問は、障害者自立支援法への取り組みについてであります。障害者福祉については、近年のサービス利用者の増加などに伴い費用も増大したことから、これまでの支援費制度の維持が困難な状況となり、また、地域間のサービス格差や身体・知的・精神の障害種別ごとの制度が異なるなどの問題が生じていました。このような状況から、障害者の方が就労を含めて、その人らしく自立して地域で暮らし、地域社会にも貢献できる仕組みづくりを進めるため、また、利用できるサービスを充実し、一層の推進を図るため、一昨年10月、障害者自立支援法が成立し、去年4月から段階的に実施されているのは御案内のとおりです。この制度は、国の財政責任の明確化を規定し、利用者を含め皆で費用を負担し支え合おうという観点から、利用者の方には、原則1割の負担をしていただくという安定的で持続可能な制度として、従来の支援費制度を根本的に変えたものであります。湿っぽい話になりますが、私の30年来の親友は、10代のころ、バイクの事故に遭い、後方に乗っていた方はお亡くなりになり、運転していた彼は、重体を乗り越えたものの片足を失い、障害者となりました。その後、看病についていた看護師さんと結ばれ、3人の子どもにも恵まれる中、一生懸命職を探したものの、なかなか定職にもつけず、短期のアルバイトを転々としながら、愛する妻と子どものために厳しい生活の中で、好きなたばこも酒も我慢しながら彼なりに一生懸命生きていました。妻の少ない収入と障害者年金という苦しい生活の中で、最終的には自分の掛けている保険金をと言い残し、1年半ほど前みずからの命を絶つという結果となり、やりきれない思いであります。このことは、一例ではありますが、障害者に対する具体的な所得補償施設のないまま実施されたことから、障害者年金だけで生活している低所得者にとって、各種減免制度など一定の配慮はされているものの、利用者の生活に重くのしかかっているのが現状であります。こうしたことから、本市においては、既に利用者負担軽減策が実施されており、国においても、特別対策による新たな軽減策が講じられたところであります。そこで、お伺いをします第1点目は、先般、国が打ち出した特別対策による本市の利用者負担への影響であります。国は、当初、3年後にはこの障害者自立支援法の制度を見直すとしておりましたが、御存じのとおり、全国の障害者等各種団体から速やかな制度の見直しなどが求められ、意見書等が相次いで国に提出されました。そこで、国は軌道修正を迫られ、平成20年度までの経過措置として1,200億円の改善策を講じました。その中で、利用者負担のさらなる軽減を図るため、平成19、20年度の当初予算で240億円を計上することを決定したところであります。この国の特別対策は、居宅介護サービスなどにも係る利用者負担上限月額を4分の1に引き下げるなどの施策が盛り込まれており、その内容と利用者負担への今後の影響がどのようになるのか、お尋ねいたします。第2点目は、市独自の軽減策の実施についてであります。本市においては、サービス利用者の生活を圧迫している現状を見過ごすことなく、本年1月から、生活への影響が特に大きい低所得者世帯に対して、本市独自に利用者負担の2分の1を助成し、利用者の経済的負担の緩和策を実施されていることは評価しております。こうした本市独自の軽減策を講じたことで、障害者の方の生活への負担が軽減され、より安心して安定的なサービスの利用が図られるとともに、社会参加への機会の拡大にも寄与するものと期待をしているところであります。しかし、利用者負担の軽減策の期間については、さきの12月議会において、本年3月までとし、4月以降の実施は、国の動向を見きわめた上で検討すると答弁されておりましたが、今回の国の特別対策を受け、新年度はどのような形で実施されるのか、お伺いいたします。最後に、事業者に対する本市の対応についてであります。昨年4月から授産施設などの利用に対する報酬単価が、月額制から日額の実績制に変更されております。したがって、利用者の通所率によっては施設経営の悪化が懸念され、急激な環境の変化に対応できないという事業者からの声も聞こえております。また、障害福祉サービスの体系が、去年10月から大幅に改正され、療護、授産施設などの入所、通所施設については、5年間の経過措置が設けられたものの、新たな体系に移行しなければならなくなり、加えて入所者の障害程度区分により報酬単価が決定されることから、今後、どの事業体系を選択するかが今後の施設経営に影響を与え、不安を持ちながら方向性を模索している状況ではないかと思っております。特に障害者の通所施設である小規模作業所は、地域活動支援センターに移行することにより補助金の増額が見込まれるものの、法人化したことで必要経費がふえ、運営は厳しくなるものと考え、移行にちゅうちょしている事業者も少なくないのではないでしょうか。こうした中、地域の方々や利用者の保護者等が中心となって運営している小規模作業所においては、経営を維持していくため、職員の給与を切り詰めるなど、これまで以上にさまざまな取り組みもなされているようであります。そこで、障害者が必要とするサービスが受けられ、さらには就労の場の確保が可能となる小規模作業所等の継続的な経営安定を図ることは、障害者福祉の増進に役立つものであると認識をしておりますが、今後、本市は、小規模作業所等に対してどのような対応を図っていくのか、お伺いいたします。

次に、4つ目の質問ですが、我が国は人口減少時代に入り、経済の仕組みや社会保障の問題など、国や社会の基盤全体に、過去に類のない変化が起こっており、先々の不透明感を一層強めております。こうした中で、昨年、国において、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合の3本から成る健康保険法の一部を改正する法律が成立したところであります。今回の改正は、医療そのものを効率化し、医療費の伸びを徐々に下げていくことで、医療費の適正化を図ることとしており、国及び都道府県が協力して策定する医療費適正化計画を推進することが目的であるそうです。そこで、このような医療費適正化の実施を踏まえ、その基本的基盤となる国民健康保険財政について、数点お尋ねをいたします。まず初めに、国民健康保険財政の状況についてでありますが、平成16年度に保険料の改定を行い、平成16、17年度と黒字を堅持し、他の中核市や県庁所在市の中でも健全な財政状況であると聞いておりますが、平成16年度の実質単年度収支が7億1,965万円であったものが、平成17年度には1億1,383万円となっており、厳しい状況になっているのではないでしょうか。そこで、平成18年度の決算収支見込みも立てていると思いますので、収支見込みについてお伺いいたします。次に、平成18年度に行った税制改革に伴い、国民健康保険料の介護分の限度額8万円を9万円に引き上げたところでありますが、今国会に提出されている平成19年度の税制改正では、国民健康保険料の医療分の限度額を引き上げる案が審議され、改正されると思いますが、本市においても、改正する予定はないのか、また、改正した場合の影響額はどれくらいなのか、お伺いいたします。

次に、教育関連施設についてお伺いいたします。教育施設は、学習や豊かな人間性をはぐくむための教育環境として重要な意義を持つとともに、災害時には、地域の人々の応急避難場所としての役割をも果たすと認識しております。そこで、早速ですが、まず、学校施設耐震化事業についてお伺いいたします。近年、東海地震や南海・東南海地震、首都直下地震などの大規模地震の発生が危惧されております。その中で本市では、とりわけ災害時には避難場所となる学校、体育館の耐震化事業を先行し、実施されておりますことは評価をするものであります。そこで、質問の第1点目は、本市の学校施設耐震化への基本姿勢についてであります。先般、学校施設の耐震診断結果に基づき、松山市学校施設耐震化推進計画を策定されましたが、策定に当たっての基本的な考え方についてお尋ねいたします。また、質問の第2点目として、学校施設の耐震化を計画的に行うための年次計画と事業費の概要について、また、事業を円滑に進める上での財源の対応についてお尋ねいたします。次に、教育長が開会初日にも説明しておりました社会教育に関連し、分館建設事業についてお伺いいたします。近年、地方の時代とも言われ、今ほど、地域の再生に向け、コミュニティーづくりの重要性が叫ばれているときはありません。本市においても、重点事業の一つとして分館建設事業に取り組んでおり、地域社会において住民意識を育てるための中心施設となるのは、分館以外にはないと考えております。そんな中、多くの分館が整備されておりますが、まだ未整備の地域や老朽化のため建てかえを要望する地域が多数あると聞き及んでおり、県の支援措置や市の財政事情が厳しい中ではありますが、地域の要望が早期に実現することを願うものであります。そこで、次の2点についてお尋ねいたします。まず第1点目は、分館整備に対する地域からの要望状況についてであります。第2点目は、分館整備への基本姿勢と今後の進め方についてお尋ねいたします。

最後の質問は、水道事業における経営改革への取り組みと市町合併に伴う課題解決への取り組みについてであります。まずは、経営改革への取り組みについてでありますが、管理者におかれましては、本市水道事業創設50周年という節目の年に就任され、早いもので4年が過ぎました。平成15年度にスタートさせた経営基盤改革のアクションプランについて、同年6月定例市議会の私の質問で、今後の水道事業経営のかじ取りについて決意のほどをお伺いしたのを思い出します。その後、経営基盤改革の第2弾である水道事業におけるDBO導入についても、一昨年の代表質問でお答えをいただきました。今議会の事業計画の説明の中で、管理者は、市長の指示のもと、公営企業局始まって以来の抜本的な改革に取り組み、最重要政策の一つと掲げる節水型都市づくりという重要な政策を進めることが、水道料金収入の減少を招くという本市特有の事情を抱えながらも、着実に改革の成果を上げてきたと述べられておりましたが、この御尽力に対し高く評価をするものであります。そこで、経営改革のこれまでの成果とこれからの取り組みについて、以下数点お伺いいたします。まず1点目は、平成15年度から3カ年で取り組んでこられた既存業務のアウトソーシングと組織再編の2本柱から成るアクションプランの成果についてであります。当初の目標としては、アクションプランの実施によって、公営企業局全体で約2割の人員削減と単年度当たり約2億円のコスト削減を掲げていたように思いますが、アクションプランを終え、その成果はどうなったのか、お伺いいたします。次に、2点目は、DBO方式による事業の進捗状況等についてであります。ニューパブリックマネジメントの具現化として導入されたDBO方式による膜ろ過施設建設の進捗状況はどのようになっているのか。予定どおりの進捗状況を見ているのであれば、20年度から施設の維持管理へと移行するわけでありますが、膜ろ過施設の維持管理を任す特別目的会社のモニタリングの準備を、どういった段取りで進めていくのか、あわせてお伺いいたします。次に、3点目は、技術継承と人材育成についてであります。官民が協働し、より安いコストで質の高いサービスを提供するという経営形態に移行していくことについては、全く異論はありませんが、業務のアウトソーシングに際し絶対に忘れてはならないのは、エンドユーザーである市民に対する最終責任は、業務を委託している公にあるということであります。つまり、民間事業者でできることは民間事業者に任せ、一方で、官である公営企業局は、民間事業者をきちんと監視、指導できる能力や手法を整えておくことが、アウトソーシングの前提であると私は考えます。そこで気がかりなのは、団塊世代の退職によって技術継承をどのようにやっていこうと考えているのか。また、多様化する需要者ニーズにこたえるため、水道サービスのレベルアップは恒常的に取り組まなければならないテーマであると思いますが、より高度な知識と実践力を身につけた人材を育成するために、どのような方針を立てているのか、あわせてお伺いいたします。次に、市町合併に伴う課題解決への取り組みについてであります。平成17年1月1日に旧北条市と旧中島町を編入合併して以来、積極的に施設整備がされておりますことは承知をしておりますが、もう一つの課題は、何といっても、ほとんどの市民の皆様に直接影響を与える上水道料金の制度の統一についてであります。これに関連して、以下数点お伺いいたします。まず1点目でありますが、合併協定書には、平成20年4月1日をめどに上水道料金の制度を統一すると明記されており、残すところ1年余りの猶予期間となりましたが、予定どおりの時期に統一することに変わりはないのか、お伺いをいたします。次に、2点目でありますが、合併協定書には料金制度統一に向けてサービス水準の均衡を図るということが明記されておりますが、このための対策はどこまで進んでいるのか、お伺いいたします。最後に、3点目でありますが、料金原価計算などの料金改定作業はこれからだと思いますが、確認しておきたい点として、松山地区と北条地区の現行料金制度の相違点は何なのか。また、それを踏まえた制度統一へ向けての基本的な考え方も、あわせてお伺いいたします。

少し余談になりますが、年明け早々の新聞に、地方議員に不満という記事が取り上げられておりました。内容については、見ていただいた方もたくさんいると思いますが、約6割の方々が地方政治に対し不満を持っているそうであります。満足していない理由として、「議会の活動が住民に伝わらない」、「行政チェック機能を果たしていない」、「地方議員のモラルが低い」、さらには、「議会内での取引を優先して審議が不透明」などなど、地方議員の私としても、実に残念でなりません。地方分権が進んでいる中、さらに地方の権限が大きくなっている今こそ、本来のチェック機能を果たし、また、政策立案を打ち出すなど、市議会の活動に住民の皆様がもっともっと興味を持ってもらうよう、この議会の質問を通し、さらに真剣に取り組んでいきたいと決意の意を述べさせていただき、私の代表質問とかえさせていただきます。御清聴ありがとうございました。

■答弁者 中村時広市長

菊池議員に、私の方からは、予算編成についてのうち、平成19年度予算編成に当たっての基本的な姿勢、歳出予算における重点項目及び特色、土木費の減少による地域経済への影響、また、子育て支援策についてのうち、保育所第3子保育料の無料化事業、障害者自立支援法への取り組みについてお答えいたします。
まず、予算編成の基本姿勢と重点項目等については、関連がございますので、一括してお答えいたします。ご案内のとおり、我が国の経済状況は、2月に国が公表したGDP速報値でも、市場の予想を上回る成長率を達成するなど、息の長い景気回復が継続していると言われております。一方、本市におきましても、経済指標からは、景気回復基調がかいま見られるものの、地域間、業種間の格差などにより景気回復を実感するまでには至っておらず、今後においても、さらに厳しい財政運営を強いられることが想定されます。しかし、こうした困難な状況だからこそ、不断の行財政改革により持続可能な財政運営への活路を見出す中で市民の生活を守りつつ、将来に向けた活力あふれるまちづくりを進めていかなければならないものと考えます。

そこで、平成19年度の予算編成に当たりましては、松山市総合計画に掲げているまちづくりの理念に沿い、憧れと誇りに満ちた日本一のまちを目指し、6つの日本一のまちづくりの項目等に重点的取り組み事項を設定し、持続可能な財政運営を基本としつつ、削るべきものは削るが、やるべきことはやるとの基本姿勢を堅持し、障害者等への施策や子育て、教育問題、市民の安全・安心の確保に向けた取り組みを初め、本市経済の活性化に資する取り組み等を推進することといたしております。特に今日のように地方経済が伸び悩んでいる中でこそ、松山に元気と活力を与える施策を展開し、地域の活性化につなげていくことが必要であると思います。4月28日に開館の運びとなった坂の上の雲ミュージアムに加え、平成21年秋からの放映も決定されましたNHKスペシャルドラマも、本市にとっての千載一遇の好機ととらえ、一層の知恵と工夫を凝らし、坂の上の雲の精神で、市民とともに各分野にわたる施策を進めることといたしております。

重点的な事業といたしましては、保育所に入所する第3子以降の保育料や障害者自立支援法に係る福祉サービスに本市独自の負担軽減を行うほか、地域コミュニティーの自立に向けた支援、小・中学校の耐震化、いじめ対策、久谷救急出張所の整備、浸水対策、新規水源への対応等により、市民が安全で安心して生活できるようにまちづくりを進める一方で、松山の魅力発信やPRによる積極的な観光客誘致のほか、JR松山駅周辺整備、外環状線整備等による都市の活力増進や農業・水産業産品のブランド化、企業誘致や新規産業の育成等による成長分野に対しても特段の配慮を行っているところでございます。また、土木費の減少による地域経済への影響についてでありますが、今回の土木費の減少は、下水道事業における一般会計からの繰り出し基準の変更、あるいは都市緑化基金への積み立てが完了したことなどの繰出金や積立金の減少のほか、新浜雨水排水ポンプ場建設がピークを越えたことなどによる事業費の減少が主な要因となっています。しかしながら、学校や公園などの公共用または公用施設の整備等に要する投資的経費を性質別に区分した本年度の普通建設事業費は、民生費に分類されている仮称南部児童センター、あるいは保健センターや仮称畑寺福祉センターの建設に要する費用、また、教育費に分類されている仮称中島小学校や分館の建設に要する費用などもありますことから、これらを集計いたしますと、平成18年度の140億円に対しまして、平成19年度は約139億9,000万円とほぼ同規模となっており、地域経済への活力にも配慮した予算編成に努めたところでございます。

続きまして、第3子保育料の無料化及び障害者自立支援法への取り組みについてお答えします。

現在、我が国においては、急速に少子化が進行しており、平成17年の合計特殊出生率は過去最低を更新し、先般、厚生労働省が発表した平成18年の速報によれば、1.3台に回復するとの見通しが出されたものの、依然として深刻な状況に変わりはなく、他の先進国と比較しても極めて低い水準にあります。こうした少子化の進行は社会経済の基盤に大きく影響を及ぼし、地域社会の活力低下をもたらすものであり、少子化の流れを変えるための施策を国を挙げて推進し、安心して子どもを産み育てることができる環境を整備することが喫緊の課題となっています。こうした中、本市におきましては、平成17年3月に策定したまつやま子育てゆめプランに基づき、地域との連携の中で仕事と家庭の両立支援、保育サービスの充実、地域における子育て支援の拠点整備など、子育て家庭を支援する各種施策に積極的に取り組んでいるところであります。そこで、お尋ねの保育所入所第3子保育料の無料化事業導入の基本的な考え方とその内容についてですが、本市におきましては、子育て家庭への経済的支援という観点から、これまでも国が定めている保育料の徴収基準額よりも軽減を図ってきたところでありますが、今回、特に子育てに要する負担が大きい多子世帯を対象とした支援策を新たに実施するものであります。この事業は、18歳未満の児童が3人以上で、3人目以降の児童が保育所に入所した場合、3歳未満児を対象にその保育料を、所得税非課税世帯は無料、所得税課税世帯は半額とする本市独自の軽減措置を講じるものであります。また、地域保育所についても、認可保育所の補完的役割を担っていることから、認可保育所と同様の軽減措置を実施するものであります。

次に、障害者自立支援法への取り組みについてお答えいたします。御案内のように、昨年10月から本格的に実施されております障害者自立支援法は、障害者福祉制度の大きな変革の流れの中で、共生の社会の実現を目指し、安定的かつ効率的な制度として新たな枠組みが構築されたものであります。この制度は、身体・知的・精神障害の一元化や就労移行支援事業といった新たなサービスの創設など、長年にわたり抱えてきた課題を解決するという方向性については、一定の理解はできるものと考えております。しかしながら、サービス利用料の原則1割負担は、負担上限月額の設定や個別減免制度など低所得者の方に対する一定の配慮がなされているものの、利用者の負担が急増したことで施設退所や利用の手控えなどが起きており、将来に対する不安等の要因となっていることも事実であります。もとより、利用者負担の軽減措置は、制度の成立過程や趣旨からいって国が行うべきものと考えておりますが、本市におきましては、逼迫した市民の生活を守るための当面の緊急的な措置として、本年1月から、国に先駆けまして、また、中核市の中でも先進的な取り組みとして、利用者負担の軽減策を実施させていただいたところであります。こうした状況の中、国においては、全国から負担軽減の見直しなどを求めるさまざまな声を受け、本年度から20年度までの間に総額1,200億円の緊急特別対策を打ち出し、利用者負担の軽減措置が講じられることになりましたが、市民生活の実態に即した十分な改善策とは思えません。そこで、まず、国の特別対策による利用者負担の影響及び市独自の利用者負担軽減策の実施についてですけれども、国の軽減措置は、在宅サービスや通所施設利用者のうち、一定の資産要件のもとに、非課税世帯または市民税所得割の世帯合算額が10万円未満の利用者の負担上限月額を4分の1に引き下げるものであります。仮に、本市が独自に実施している利用者負担の軽減策を廃止して国の施策のみを実施した場合、負担上限月額に達するまでのサービス利用者が少ないことから、全体の約7割の方が現在よりも負担が増加するという結果となり、残念ながら、今回の国の緊急特別対策では、利用者の不安を解消するまでには至っていない状況でございます。

そこで、本市といたしましては、国の軽減措置が不十分であることから、低所得者の方の負担増の抑制に加え、各障害者団体からの要望も踏まえ、平成19年度においても、本市独自に利用者負担の3分の1を助成することといたしましたが、今後におきましても、国に対し、さらなる負担軽減策を講じるよう求めてまいりたいと思います。なお、今回の国の軽減措置の対象となっていない移動支援や補装具、日常生活用具などの給付につきましても、引き続き利用者負担の2分の1を助成することといたしております。

最後に、小規模作業所等に対する本市の対応についてですが、国の特別対策により、小規模作業所が地域活動支援センター等への移行計画を作成した場合には、緊急的な助成措置が、また、地域活動支援センターに移行した場合は、一定の補助が受けられる仕組みともなっております。こうした中においても、経営基盤の脆弱な小規模作業所にあっては、法人化による地域活動支援センターへの移行が極めて困難なことに加え、移行後の運営や先行きに不安を抱えているのが現状であります。そこで、障害者の自立と社会参加を促進する場である小規模作業所等に対しましては、これまでの市単独運営補助に加え、当初予算において1作業所当たり年間90万円の増額を行い、地域における福祉就労の拠点としての機能が発揮できる環境づくりに取り組んでいくこととしております。
その他の質問につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

■答弁者 稲葉輝二助役

菊池議員に、予算編成についての御質問のうち、市税、地方交付税、臨時財政対策債の収入見込み、補償金のない繰上償還制度等についてお答えさせていただきます。

まず、市税につきましては、平成19年度は、国税から地方税への税源移譲や定率減税の廃止に伴う個人市民税の増額を見込むほか、企業収益の増加による法人市民税や家屋の新増築による固定資産税の伸びが見込まれますことから、平成18年度見込み額627億円を上回る670億円程度を市税収入として見込んでおります。一方、地方交付税及び臨時財政対策債についてでありますが、地方交付税は、平成18年度見込み額230億円を下回る208億円程度を、それから臨時財政対策債も、平成18年度見込み額42億円を下回る38億円程度を見込んでおります。なお、一般財源総額といたしましては、地方譲与税のうち、所得譲与税が税源移譲により廃止になるほか、減税補てん債も廃止されることから、平成18年度対比では20億円規模の減収が見込まれますため、平成19年度につきましても、引き続き厳しい財政運営を強いられるのではないかと思っております。

次に、第4点目であります補償金のない繰上償還制度等についてお答えいたします。今回の措置は、高金利の地方債の公債費負担を軽減するために、徹底した総人件費の削減等を盛り込んだ財政健全化計画あるいは公営企業健全化計画を策定いたしまして、それに基づいて行政改革、経営改革を行う地方団体を対象に、財政融資資金は平成19年度から3年間で3兆3,000億円程度、簡保資金におきましては平成20年度から2年間で5,000億円程度、また、公営企業金融公庫資金は平成19年度から2年間で1兆2,000億円程度を、補償金なしの繰上償還を認めるとともに、その財源対策として、必要に応じ民間資金等による借りかえを可能としたものであります。ただし、公営企業金融公庫資金につきましては、上水道事業や下水道事業等に限定されますため、一般会計債は対象外となる見込みでございます。

次に、お尋ねの本市の一般会計の市債残高は、平成17年度の決算時点で約1,896億円でありまして、そのうち、財政融資資金、簡保資金は、それぞれ776億円と145億円程度で、総額におきまして約921億円であります。また、財政融資資金、簡保資金のうち、5%以上の高金利債の残高は、それぞれ20億円と60億円程度でありまして、したがって総額で約80億円でございます。現時点で示されている内容によりますと、一般会計債の今回の対象には、財政健全化計画の国による承認に加え、実質公債費比率や経常収支比率、財政力指数、市町村合併の有無、それら各種条件が参酌をされまして、対象となる金利が5%、6%、7%以上と、この3段階に限定されているため、健全な財政運営を堅持しております本市では、計画の承認を受けても高金利の7%以上の残債のみに限定される可能性がありまして、その場合は、財政融資資金2億円、簡保資金12億円程度で、合わせて約14億円と見込まれます。今回の措置は、これまで全国市長会等を通じまして長年にわたり、あらゆる機会をとらえ再三要望してきたことに対して、理解をいただいた成果であると考えておりますが、今後は、本市のように、長きにわたり不断の努力により持続可能な財政運営を堅持してきた自治体に対しても、同様の措置がとられるように、国に対して要望を行ってまいりたいと考えております。

■答弁者 武智喜代徳保健福祉部長

菊池議員に、国民健康保険事業についてお答えいたします。

御案内のように、国民健康保険は、制度創設以来現在まで、国民皆保険制度の中核として我が国の社会保障制度を支える重要な役割を担いながら、地域住民の医療の確保と健康の保持増進に大きく貢献してまいりました。しかしながら、景気の不安定等により、国民健康保険への加入者は増加傾向にあり、低所得者や高齢者を多く抱える国民健康保険特有の構造的問題と相まって、国民健康保険事業の運営は厳しいものとなっております。そこで、議員お尋ねの平成18年度の収支見通しでございますが、年々増加傾向にある医療費や介護納付金等の増加により黒字幅が縮小し、形式収支は約3億2,000万円の黒字が見込まれるものの、実質単年度収支は約4億円の赤字になる見込みであります。

次に、国民健康保険料の医療分限度額の引き上げについてでありますが、国においては、本年2月16日の閣議で国民健康保険料の医療分限度額を53万円から56万円に引き上げる政令が決定され、平成19年4月公布の見通しとなっております。そこで、本市の対応についてでありますが、平成20年度後期高齢者医療制度の創設に伴い、現在の医療分、介護分に加え、新たに高齢者支援分の負担により、国保の財政運営は非常に厳しい状況が予想されますが、国保財政の本年度末収支状況が累積で3億円余の黒字であることなどから、19年度の限度額引き上げは見送ることといたしました。
以上で、答弁を終わります。

■答弁者 白石義秀社会福祉担当部長

菊池議員に、子育て支援策のうち、児童クラブについてお答えいたします。

まず、児童クラブの今後の施設整備についてでありますが、近年、社会情勢の変化や夫婦共働き家庭の増加などに伴い、放課後における児童の安全・安心な居場所づくりとしての児童クラブが担う役割は、ますます大きくなっております。こうした中、本市の児童クラブの施設整備につきましては、これまでにも、小学校の余裕教室の活用を最優先として順次整備を行ってまいりましたが、加えて国においても、放課後子どもプランの中で小学校の空き教室を積極的に活用することとなりましたことから、新年度においては、北条小学校の余裕教室を利用した北条児童クラブの整備を行うことといたしております。また、総合的に子育て支援を図るため、保健福祉部と教育委員会で構成するこども施策担当課長会議を創設し、小学校の余裕教室等社会資源の有効活用など、連携を強化する中で計画的な施設整備に努めてまいりたいと考えております。次に、児童クラブの運営時間の見直しについてでありますが、児童クラブの終了時間は、平成14年度から午後6時まで延長するなど運営の改善を図ってまいりましたが、さらに新年度からは保護者の就労等の実情に対応するため、土曜日や夏休みなどにおける開始時間を現行の午前8時30分から午前8時に早めることとしたものであります。今後におきましても、地域との連携を図りつつ、保護者の要望等にも柔軟に対応するなど、放課後児童の健全な育成に向けた環境整備に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

■答弁者 土居貴美教育長

菊池議員に、教育関連施設についてお答えいたします。

まず、学校施設耐震化事業について、その推進計画策定に当たっての基本的な考え方でありますが、学校施設は、児童・生徒等が一日の大半を過ごす学習、生活の場であることや、地域住民にとって、災害発生時には避難場所としての役割も果たすことから、安全で安心な環境を確保することが重要であると認識しております。そこで、平成15年度から17年度にかけて実施いたしました学校施設の耐震診断では、改築や補強の必要がある施設は、体育館30棟、校舎119棟の合計149棟あり、すべての施設に対策を施すには多額の経費と期間を必要といたしますことから、推進計画には耐震化の優先性や耐震化手法及び整備基準等を含めた全体の整備方針を定め、これらを年次計画等に反映させ、事業を計画的、効率的に推進することとしております。次に、年次計画と事業費の概要及び財源についてでありますが、事業の推進に当たっては、体育館耐震化事業、第1次校舎緊急耐震化事業、第2次校舎耐震化事業の3段階で進めることとしております。まず、体育館耐震化事業は、小・中学校の体育館の整備を優先して実施するもので、平成18年度から20年度の3年間の予定で30棟の整備を進めております。また、第1次校舎緊急耐震化事業として、平成19年度から28年度までの10年間で52棟を整備し、平成29年度以降からの第2次校舎耐震化事業では67棟の整備を予定しております。これらすべての耐震化事業の概算総額は約138億円となり、その財源といたしましては、国庫補助金や起債を最大限活用するとともに、市費負担の平準化のため、基金の効果的な活用を図ることといたしております。なお、整備期間が長期にわたり、制度や工法の変化も予想されますことから、おおむね5年ごとには計画の見直しを行うこととしております。

次に、分館建設事業についてお答えします。まず、分館整備に対する地域からの要望状況につきましては、現在、既存施設の建てかえも含めた建設要望が提出されているものは13館あり、また、地域において建設に向けた準備がされているものが9館となっております。次に、分館整備への基本姿勢と今後の進め方についてでありますが、地区公民館の分館は、地域住民の最も身近な活動拠点として、また、生涯学習の実践の場として活用されており、地域住民みずからによるまちづくりや生涯学習社会が進展する中で、その役割はますます重要になってくるものと認識しております。そこで、分館整備につきましては、地元において建設用地の確保と建設経費の一部を負担していただくとともに、県の補助制度等を活用しながら継続的な整備に努めているところであります。しかしながら、近年、県費補助は1館分にとどまり、財源確保が難しい時期ではありますが、来年度においては、地域の要望にこたえるため市単独経費を増額して、従来よりも施設整備の速度を速め、4館の整備を図ることとしております。今後におきましては、県の補助制度の動向や本市の財政状況などを踏まえながら、現在取り組んでおります住民主体のまちづくりを積極的に支援していく上からも、その活動の核となる分館整備を計画的に進めてまいりたいと考えております。
以上で、答弁を終わります。

■答弁者 渡辺滋夫公営企業管理者

菊池議員に、水道事業における経営改革への取り組みと市町合併に伴う課題解決への取り組みについてお答えいたします。
まず、経営改革の取り組みの一つでありましたアクションプランの成果についてであります。このプランの内容は、まさに市長の公約にもありますように、民間パワーを徹底活用し、既存業務をアウトソーシングするとともに、組織をスリム化するというものであり、平成15年度からの3カ年計画で実行に移してきたものでありましたが、その成果は、当初目標を上回るものとなりました。具体的には、人員削減は目標どおりの約2割の減、人数にして45人の削減を達成、コスト削減は単年度当たり2億3,700万円と、目標の約2億円を上回る成果を得ることができたところであります。次に、DBO方式による事業の推進状況等についてであります。DBO方式による膜ろ過施設につきましては、平成18年度と平成19年度の2カ年で建設することとしておりますが、現在、膜処理設備の工場製作や膜処理棟の基礎部分の工事を進めており、当初予定どおりの進捗を見ているところであります。また、膜処理施設等の維持管理を任せることとなっております特別目的会社のモニタリングの準備についてでありますが、平成19年度中に維持管理モニタリング実施計画を策定するなど、平成20年4月1日の供用開始に向け、所要の準備を進めていくこととしております。次に、技術継承と人材育成についてであります。団塊世代の退職に伴う技術の継承ということにつきましては、本市の水道事業においても直面する課題でありまして、水道管布設の技能や事故対応能力など、いわゆる現場力とでも言うべきノウハウを実体験を通し継承していく必要があると考えております。したがいまして、これまでにも若手技術職員については、設計監督業務のみならず、一定期間水道管の維持管理部門の最前線に配属し、順次経験を積ませてきております。今後は、こうした取り組みに加え、新たな技術継承の取り組みとして、平成18年度末に完成予定の水道技術研修用の配管施設を活用し、経験豊かな団塊世代の職員の指導のもと、若手職員に水道管から漏れている水の音の聞き分け方や弁操作等のコツを、繰り返し実地研修させることとしております。また、多様化する需要者ニーズにこたえるための人材育成についてでありますが、もとより水道水の安全・安心を確保するためには、何よりも水質面でのレベルアップが必要であると考えておりまして、今議会冒頭の業務計画の中でも申し上げましたが、本市の水道水のブランドイメージを高めるため、国際規格であるISO9000シリーズと同様の考え方に基づく水道GLP、これは水質検査等の信頼性を保証する制度でありますが、この取得を目指し、新年度から準備に取りかかることとしたところであります。このことによって、水質管理に携わる職員のモチベーションを高めることができると考えており、今後は、こうした職員のやる気を引き出すという方針を基本に据え、人材育成に取り組むこととしております。

次に、市町合併に伴う課題解決のうち、上水道料金の統一時期とそれに向けてのサービス水準均衡策につきましては、関連がございますので一括してお答えいたします。まず、松山地区と北条地区の上水道料金制度の統一についてでありますが、水道料金は、水道サービスの対価でありますことから、基本的に水道サービス水準の均衡ということが前提になるため、合併建設計画などに基づき、水道施設整備を進めてまいりました。具体的には、平成19年度中には、松山地区と北条地区を結ぶ連絡管の整備と第9次拡張事業が完成予定のほか、既に平成18年度中には、単年度事業として、漏水事故が多発していた光洋台地区の老朽管の全面更新を終えるなど水道施設整備も順調に進捗していることから、上水道料金制度の統一は、合併協定書に盛り込まれているとおり平成20年4月1日に実施したいと考えております。次に、松山地区と北条地区の現行料金制度の相違点等についてであります。まず、料金水準につきましては、一般家庭で平均的に使用された場合は、ほとんど格差はございませんが、使用量の多い場合は、松山地区の水道料金が従量料金の逓増度を高めていることから、大きな開きが生じてまいります。また、料金体系につきましては、松山地区が節水を促すための措置として、基本水量制を既に廃止しているのに対し、北条地区は基本水量制をいまだにとっていることなどであります。なお、上水道料金制度統一に向けての基本的な考え方についてでありますが、節水型料金体系としての色彩が濃い松山地区の水道料金体系を基本とするとともに、水道料金水準の格差の大きい使用区分のところについては、何らかの激変緩和の措置も検討してまいりたいと考えております。
以上で、答弁を終わります。

■答弁者 渡辺滋夫公営企業管理者

菊池議員に、水道事業におけるDBO導入についてお答えをいたします。
まず、膜ろ過施設等整備事業のバリュー・フォー・マネー42%の要因と評価についてであります。DBO導入により、民間事業者が持つ技術やノウハウに裏打ちされた創意工夫というものが私どもの想定を上回って発揮され、膜ろ過施設をコンパクト化することができたこと、このことに加え、膜ろ過という21世紀の主流になると言われている水処理技術の市場開拓といったことが民間事業者間の競争意識を刺激したこともあるのではないかと受けとめており、これらの結果が42%という大きなバリュー・フォー・マネーを生み出したものと考えております。本市水道事業にとってDBO導入は初めてのチャレンジでありますが、バリュー・フォー・マネーの結果につきましては、全国的なPFIの事例と比較いたしましても、十二分に満足のいくものであると思っております。
次に、浄水処理を民間事業者に任せる上での安全性の確保についてであります。民間事業者の選定につきましては、単に金額だけではなく、事業の安定的遂行能力を含めた総合評価であったこと、事業運営につきましては企業局と民間事業者とのリスク分担を明確にし、適切にリスク管理を行わせることとしていること、さらに企業局の要求水準を満たしているか、契約内容が遵守されているかを確認するために第三者によるモニタリングの実施を予定していることなど、安全性確保につきましては万全を期してまいります。もとより、浄水処理後の水道水の水質管理につきましては、従来どおり企業局みずからが実施いたしますので、根本的なところで水道水の安全性が揺らぐことは、いささかもないものと考えております。
次に、民間事業者の実施体制、企業局の監視体制及び業務履行の担保についてであります。事業の実施体制は、受注者の構成メンバーで組織される建設JVが施設建設を担い、構成メンバーのすべてが出資して設立した特別目的会社、いわゆるSPCが当該施設の維持管理を担うことになります。また、企業局といたしましては、通常の業務と同様に、建設工事の施工管理や維持管理業務の履行確認を行うことに加え、維持管理業務とSPCの財務状況については、第三者によるモニタリングといった監視体制を考えております。さらに、業務履行を担保するため、SPCの株主と根質権設定契約を交わし、発行するSPCの全株式を差し入れさせるなどの措置を講じてまいります。
次に、地域経済活性化への配慮についてでありますが、受注者から建設資材や水処理薬品の調達は地元企業を優先する。また、浄水場内の除草等には、地元のシルバー人材を活用するなどの提案が出されており、これらの提案の履行確認をしっかりとやっていく考えであります。
最後に、施設の耐震性の確保と環境への配慮についてでありますが、南海地震などの大規模地震に対しても、耐え得るだけのものを要求水準において求めており、受注者の提案もそれを十分満足する内容となっております。また、環境への配慮につきましては、膜ろ過施設の屋上に太陽光発電設備を設置するとともに、用水タンクも設置することとしており、いわゆる省資源型の施設としております。
以上で、答弁を終わります。